2008年6月30日月曜日

床屋・歯科では使い回しはないか?(2)

 つづきです。

Int J Mol Med. 2008 Jun;21(6):791-9.
HBV and HCV infection in Japanese dental care workers.
Nagao Y, Matsuoka H, Kawaguchi T, Ide T, Sata M.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18506374

 最近の日本からの論文です。原文入手できず要約のみです。
 歯科治療に携わる職員141人に対してアンケート調査を実施しています。

 手袋を着用し、患者ごとに変える・・・9人
 手袋を着用し、破れたら変える・・・36人
 手袋を着用しない・・・24人
 
 HBs抗原陽性(ワクチン未接種)は27%
 HCV抗体陽性者はいなかった

 手袋はあまり変えていないんですね。医科では常識になっていますが。
 B型肝炎感染のリスクは高く、ワクチンを義務づけるべきだと結んでいます。患者のリスクについては要約では触れられていません。

 歯科治療については2003年のCDCガイドラインの邦訳を見つけました。すばらしい!!(PDF)
http://api-net.jfap.or.jp/siryou/dental_guideline/2003.pdf

 職業上の曝露については、海外のガイドラインがたくさんあります。
http://jada.ada.org/cgi/content/full/133/12/1627
http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=573

2008年6月29日日曜日

床屋・歯科では使い回しはないか?(1)

 毎日のように伝えられる採血器具使い回し。針の使い回し事件を発端として報道されるようになりましたが、最近報道されているのは針ではなく、飛散した血液が周囲に付着してしまうリスクという、比較的感染の危険性の低い問題について報道されています。肝炎やHIV感染予防対策は重要ですが、医療者側からは、もっと危険なものが放置されているのではないかと思ってしまいます。

 たとえば床屋のかみそり(電気かみそりを含む)の使い回しはないのか?歯科治療は?医療者からみて疑問に思うことはあります。

 この問題については、PubMedではうまく情報検索ができませんでした。医療従事者を守るための情報はありますが、利用者感染のリスクについては、うまく見つかりませんでした。
 Googleなどを使って少し検索してみると、利用者からの不安の声が散見されます。いよいよ解決すべき問題ではないでしょうか。

検索された例
http://health.nifty.com/cs/catalog/idai_qa/catalog_5078_1.htm
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q135114963

2008年6月28日土曜日

過敏性腸症候群に少量抗うつ剤

 心の病が増えているようですが、過敏性腸症候群も増えているような実感があります。

Aliment Pharmacol Ther. 2008 Apr;27(8):678-84. Epub 2008 Jan 30.
Clinical trial: the effect of amitriptyline in patients with diarrhoea-predominant irritable bowel syndrome.
Vahedi H, Merat S, Momtahen S, Kazzazi AS, Ghaffari N, Olfati G, Malekzadeh R.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18248658

  • 54人のRome II クライテリアを満たす下痢主体の過敏性腸症候群に対して
  • 10mg amitriptyline(トリプタノールなど)を毎日内服すると
  • プラセボに比べて
  • 2カ月で症状は軽減するか
治療、ランダム化比較試験

結果
軟便(12% vs 28%)や残便感(8% vs 32%)はより改善した

 少量のamitriptylineでも有効であることを示したランダム化比較試験です。常用量は30-150mgですので、かなり少量です。
 過敏性腸症候群はプライマリケア(12%)や消化器科(28%)を受診する理由としては最も多く、生活の質を著しく落とし、仕事の休職率が高く、医療費がかかる健康問題である、とあります。

2008年6月27日金曜日

これまでの日誌(2)

 日誌をはじめてもうすぐ7か月です。これまで139タイトルの日誌の中で頻度の高い健康問題は何でしょうか?
 前回(3月)は以下の通りでした。
http://comet-log.blogspot.com/2008/03/blog-post_8394.html

Z10 (33) 健康管理システムの利用の問題
* (13)  その他(ご案内など)
T90 (12)  糖尿病
A85 (6)  通常使用量の医薬品による副作用
R74 (4)  急性上気道炎
R99 (4)  その他の呼吸器疾患
D86 (3)  その他の消化性潰瘍
D99 (3)  その他の消化器疾患
K75 (3)  急性心筋梗塞
K87 (3)  臓器障害を伴う高血圧症
R75 (3)  急性/慢性副鼻腔炎
T92 (3)  痛風
Z25 (3) 暴行/不幸な出来事による問題

 おかげさまで7000アクセス達成しました。これからもなんとか続けていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

胆石にUDCAで胆嚢炎再発がへるか?

 胆石胆嚢炎の方をたてつづけに治療しました。回復後、UDCA(ウルソ)投与をしたほうが、再発はへるのでしょうか?調べてみました。
 あまり的確なものは見つかりませんでしたが、UpToDateで日本人のコホート研究を見つけました。

Hepatology. 1999 Jul;30(1):6-13.
Long-term ursodeoxycholic acid therapy is associated with reduced risk of biliary pain and acute cholecystitis in patients with gallbladder stones: a cohort analysis.
Tomida S, Abei M, Yamaguchi T, Matsuzaki Y, Shoda J, Tanaka N, Osuga T.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10385632


  • 大学附属病院で合併症のない胆石症と診断された527名の人を
  • 長期間観察すると
  • UDCA投与は胆石疝痛の発症、胆摘術の適応の予後因子となるか
  • 予後、コホート研究
結果

胆石疝痛
ハザード比 0.267 95%信頼区間 0.15-0.46

      10年の累積発症率 UDCA投与
症候性胆石  92%       62%
無症候性胆石 12%       8%

胆摘術 
ハザード比 0.240 95%信頼区間 0.04-0.10

      10年の累積発症率 UDCA投与
症候性胆石  88%       26%
無症候性胆石 2%        2%?

 Table3, abstructと本文に不一致がみられ、誤植と思われます。
 アウトカム評価は2名以上の評価になっているようですが、マスキングはされていないと思われます。観察研究ですので、UDCAの介入の直接の効果を評価することはできませんが、長期的には胆石発作予防に有効である可能性が示唆されたものと思われます。

2008年6月25日水曜日

繰り返す、これは訓練ではない。

 「地域医療を考える」として「ROCKY NOTE」に紹介されていました。考えさせられます。  
 
繰り返す、これは訓練ではない。(PDF)

 数多く経験することは、必ずしも訓練ではありません。
 自分の診療はただの繰り返しではないか。自問しながら地域医療を続けたいです。

2008年6月24日火曜日

ボディピアスのリスク

 耳たぶ以外につけるボディピアスについて、英国からの報告です。

BMJ. 2008 Jun 21;336(7658):1426-8. Epub 2008 Jun 12.
Body piercing in England: a survey of piercing at sites other than earlobe.
Bone A, Ncube F, Nichols T, Noah ND.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18556275

  • 英国の一般成人について
  • ボディピアスをしたことがある人の
  • 頻度はどれほどか、合併症の頻度はどれほどか
  • 診断(頻度)、横断調査
結果
市場調査会社が16歳以上の10503人を対象に調査を実施。
1049人(10%, 95%信頼区間9.4-10.6%)がボディピアスの経験あり。
平均ピアス数は1.71個。10個以上のピアスは7人。
16-24歳女性の約半数(46.2%)に経験があった。
部位はへそ33%、鼻19%、耳13%、舌9%、乳頭9%、眉毛8%、唇4%、陰部2%、その他3%
80%は専門のピアス・入れ墨ショップで実施されていた。

合併症は27.5%(95%信頼区間24.8-30.3%)、重篤な合併症は12.9%(95%信頼区間10.8-15.2%)にみられた。主な合併症は腫脹・感染・出血であった。
入院が必要となるのは100回に1回の頻度だった。


 若い女性の半数がボディピアスをしているとのこと。日本の事情はどうなっているのでしょう。

2008年6月20日金曜日

上気道咳症候群(UACS)(2)

 勉強していると早速患者さんがやってくるのは不思議です。かぜをひいたあとで2週間以上咳が止まらない20歳代女性。開業医でよくならないので、検査をしてほしい、と深刻そうな表情で受診されました。Cobblestoneはみられませんでしたが、後鼻漏もみられ典型的なUACSでした。血液・胸部X線検査でも異常なし。抗ヒスタミン薬を処方しました。

 「上気道咳症候群ですね。」「よくわからないですが、かぜじゃなかったんですね。」
 
 後鼻漏症候群のほうが説明がしやすかったような気がします。
 「上気道咳症候群」をGoogle検索してみました。長引く咳は非常に頻度の高い症状のはずですが。

上気道咳症候群 5件
"upper airway cough syndrome"(日本語のみ) 8件

 日本ではこれしかヒットしませんでした!2006年のAmerican College of Chest Physiciansのガイドラインは日本ではあまり認知されていないようです。日本のサイトを代表して・・・
http://intmed.exblog.jp/3042484/
http://www.watanabe-clinic.com/pc/free.html

 そもそも長引く咳の原因は呼吸器科の病気だけではありません。耳鼻科、消化器科、循環器科領域にも関連します。ひとりの専門医では解決できず、効率も悪くなる症状のひとつです。幅広い領域を扱う家庭医の腕の見せ所でもありますね。

Chest. 2006 Jan;129(1 Suppl):1S-23S.
Diagnosis and management of cough executive summary: ACCP evidence-based clinical practice guidelines.
Irwin RS, Baumann MH, Bolser DC, Boulet LP, Braman SS, Brightling CE, Brown KK, Canning BJ, Chang AB, Dicpinigaitis PV, Eccles R, Glomb WB, Goldstein LB, Graham LM, Hargreave FE, Kvale PA, Lewis SZ, McCool FD, McCrory DC, Prakash UB, Pratter MR, Rosen MJ, Schulman E, Shannon JJ, Smith Hammond C, Tarlo SM; American College of Chest Physicians (ACCP).
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16428686

2008年6月19日木曜日

上気道咳症候群(UACS)

 これまで後鼻漏症候群と呼ばれていたものは、現在より正確な「上気道咳症候群(upper airway cough syndrome)」という呼称になっています。ガイドラインが出ていました。

Chest. 2006 Jan;129(1 Suppl):63S-71S.
Chronic upper airway cough syndrome secondary to rhinosinus diseases (previously referred to as postnasal drip syndrome): ACCP evidence-based clinical practice guidelines.
Pratter MR.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16428694


  • 長引く急性咳の原因としては最も多いものである。
  • 診断は症状、身体所見、X線所見、治療に対する反応などの組み合わせにより行うが、特異的な診断法はない。 (症候群である)
  • 後咽頭への後鼻漏、咽頭クリーニング、鼻漏、後咽頭の敷石状変化、治療的診断(第一世代の抗ヒスタミン・充血改善薬)などがある。
  • 鑑別診断はアレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎(血管運動性鼻炎、好酸球性非アレルギー性鼻炎NARES)、感染症後UACS、細菌性副鼻腔炎、アレルギー性真菌副鼻腔炎、解剖学的異常による鼻炎、刺激物による鼻炎、職業的鼻炎、医原性鼻炎、妊娠鼻炎
 咳のガイドラインが改訂されています。勉強してみたいと思います。

2008年6月18日水曜日

プラセボの予後(3)境界型糖尿病20年で93%が糖尿病

 再掲です。
http://comet-log.blogspot.com/2008/06/blog-post_17.html

Lancet. 2008 May 24;371(9626):1783-9.
The long-term effect of lifestyle interventions to prevent diabetes in the China Da Qing Diabetes Prevention Study: a 20-year follow-up study.
Li G, Zhang P, Wang J, Gregg EW, Yang W, Gong Q, Li H, Li H, Jiang Y, An Y, Shuai Y, Zhang B, Zhang J, Thompson TJ, Gerzoff RB, Roglic G, Hu Y, Bennett PH. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18502303

  • 境界型糖尿病の人に
  • 生活習慣介入(食事・運動・食事+運動)を行うと
  • 対照と比べて
  • 糖尿病発症、心血管疾患発症・死亡率、全死亡率、は減るか
  • 治療、ランダム化比較試験

結果(ハザード比) 
介入期間では糖尿病発症は51%減少、20年以上では43%減少
年間発症は介入群で7%、対照群で11%
20年の累積発症では80%、93%
心血管疾患や死亡には有意差がなかった  


 プラセボの予後は、境界型糖尿病は20年で93%が糖尿病の診断を受ける、という解釈になりますね。

2008年6月17日火曜日

生活習慣改善で心血管疾患や死亡は減らない

 生活習慣改善は心血管疾患や死亡を減らすのか?中国からの論文です。

Lancet. 2008 May 24;371(9626):1783-9.
The long-term effect of lifestyle interventions to prevent diabetes in the China Da Qing Diabetes Prevention Study: a 20-year follow-up study.
Li G, Zhang P, Wang J, Gregg EW, Yang W, Gong Q, Li H, Li H, Jiang Y, An Y, Shuai Y, Zhang B, Zhang J, Thompson TJ, Gerzoff RB, Roglic G, Hu Y, Bennett PH.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18502303

  • 境界型糖尿病の人に
  • 生活習慣介入(食事・運動・食事+運動)を行うと
  • 対照と比べて
  • 糖尿病発症、心血管疾患発症・死亡率、全死亡率、は減るか
  • 治療、ランダム化比較試験

結果(ハザード比) 
介入期間では糖尿病発症は51%減少、20年以上では43%減少
年間発症は介入群で7%、対照群で11%
20年の累積発症では80%、93%
心血管疾患や死亡には有意差がなかった

 生活習慣改善で糖尿病罹病期間は平均3.6年短くなりますが、心血管疾患や死亡にはかわりがないということです。糖尿病と診断されるのを予防しましょう、ということでしょうか?生活習慣改善を積極的にやったほうがよいのか本当にわからなくなります。
 それにしても境界型の大部分の人は将来糖尿病の診断を受けることになるということですね。診断基準っていったい何なのでしょうか。少なくとも診断基準は臨床アウトカムを反映するものではありませんね。誤解しないように使いたいです。

2008年6月16日月曜日

GERDの経験的治療

 GERDが疑われる方に、内視鏡検査を行わずに治療を開始することがあります。これを検証した論文がありました。

Am J Gastroenterol. 2008 Feb;103(2):267-75.
Management strategy for patients with gastroesophageal reflux disease: a comparison between empirical treatment with esomeprazole and endoscopy-oriented treatment.
Giannini EG, Zentilin P, Dulbecco P, Vigneri S, Scarlata P, Savarino V.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18289194

  • GERD症状があり、警告症状のない人に
  • 経験的にesomeprazole 40mg投与すると
  • 内視鏡検査をもとに治療を行うのと比較して
  • 症状スコアは改善するか
  • 治療、ランダム化比較試験
結果
経験的治療86.4%、内視鏡により治療87.5%で有意差なし。コストは1人あたり38.72ユーロ節約。健康関連QOLには影響なかった。


 結果が変わらずコストがかからず、侵襲も少ない。適応を選べば悪いところはなさそうですね。

2008年6月15日日曜日

2型糖尿病を厳格治療すると死亡が増える

 以前速報したACCORDの論文が出ました。衝撃的な結果です。
http://comet-log.blogspot.com/2008/02/hba1c.html

N Engl J Med. 2008 Jun 12;358(24):2545-2559. Epub 2008 Jun 6.
Effects of Intensive Glucose Lowering in Type 2 Diabetes.
The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18539917
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMoa0802743

  • 心血管疾患がある、またはリスクファクターがある2型糖尿病の人に
  • HbA1c 6.0%を目標とした厳格治療を行うと(5128人)
  • HbA1c 7-7.9%を目標とした標準治療と比べて(5123人)
  • 非致死性心筋梗塞・脳梗塞、心血管疾患による死亡の複合アウトカムは減るか
  • 治療、ランダム化比較試験

結果、平均3.5年で中止

           アウトカム  死亡
厳格治療     352人     257人
標準治療     371人     203人
ハザード比    0.90      1.22
95%信頼区間   0.78-1.04  1.01-1.46


 22%死亡が増えたということになります。
 もうHbA1cにこだわる診療は危険ですからやめることにしました。

2008年6月10日火曜日

RS3PE症候群

 救急車で搬送された女性。「膠原病だけど日本語の病名がついてなくて横文字だからよくわからない。ホルモン剤で治療している。」とのこと。主治医に連絡をとり、病名は「RS3PE症候群」と判明。確かに覚えられないかもしれません。いったいどんな病気だったっけ?調べてみました。

  • RS3PE=remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema
  • リウマチ性多発筋痛症(PMR)とよく間違えられる。
  • 50歳以上で、突然関節痛があらわれ、血液検査でリウマチ因子が検出されない。
  • 少量のグルココルチコイド治療で反応し、PMRの亜型と考えられている。
診断基準(McCarty)
(1) 両手の圧痕性浮腫
(2) 多発関節痛の突然発症
(3) 50歳以上
(4) リウマチ因子(RF)陰性

 腫瘍随伴症状ではないかという報告もあるようです。
J Rheumatol. 1999 Jan;26(1):115-20.
Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema (RS3PE): a form of paraneoplastic polyarthritis?Sibilia J, Friess S, Schaeverbeke T, Maloisel F, Bertin P, Goichot B, Kuntz JL.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9918251

2008年6月9日月曜日

地域医療に明日はあるか?

 7月からTBS日曜劇場で潰れかけの自治体病院再建ドラマがはじまります。医療再生の主役は竹野内豊医師、なかなかかっこよかったです。

日曜劇場「Tomorrow」
http://www.tbs.co.jp/Tomorrow2008/

「人は死ぬ」それでも医師にできること

 週刊医学界新聞の人気連載「センター長日記」が本になりました。発売中です。
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=59913

「人は死ぬ」それでも医師にできること
へき地医療,EBM,医学教育を通して考える
著:名郷 直樹

判型 A5  頁 260  発行年 2008年05月
定価 2,310円 (本体2,200円+税5%)
ISBN978-4-260-00577-7

患者はどうして死んだのか?――異色の著者による珠玉のエッセイ集病院中心の医療は患者に多くの福音をもたらしたが、一方、人々から「自然な死」を遠ざけた。本書は12年間、へき地医療を実践し、その間、本邦のEBMの第一人者となった異色の著者による珠玉のエッセイ集。研修医教育に転じた最初の1年を日記の形で振り返り、さらに、EBMや医師・患者関係に鋭い考察を加えた。医療者のみならず一般の方にもぜひ読んでほしい1冊。

2008年6月5日木曜日

プラセボの予後(2)尿管結石5年で27%再発

 尿管結石はつづけておこる病気のひとつです。当直していて一人来ると、二人目三人目が現れることがよくあります。先日も一晩で二人来られました。
 多くの人ははじめての経験ですが、頻繁に繰り返している人が受診されました。突発性で移動する背部からまわりこむような側腹部の激痛。血尿あり。臨床症状からも明らかでした。CTを行ったところ、多数の腎結石が・・・。泌尿器科での精査をおすすめしましたが、ご本人は深刻そうに

「いったいどんな注意をしたらいいのでしょうか?」

 ちょうど最近MRさんからもらっていたパンフレットを使用して説明。まずは水分摂取をおすすめしました。 ところで再発の可能性はどの程度あるのでしょうか?調べてみることにしました。

J Urol.1996 Mar;155(3):839-43.
Urinary volume, water and recurrences in idiopathic calcium nephrolithiasis: a 5-year randomized prospective study.
Borghi L, Meschi T, Amato F, Briganti A, Novarini A, Giannini A.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8583588

  • はじめての腎結石(カルシウム結石)の人に
  • 多量の水分摂取を促すと
  • 治療なしと比べて
  • 5年間で再発率は減るか
  • 予防、ランダム化比較試験

結果
水分摂取群12人/99人
治療なし27人/100人
(p = 0.008)

 水分摂取は再発予防に有効という結論でした。
 プラセボの予後は、放置すれば5年で27%が再発する、ということになります。

2008年6月4日水曜日

地域医療に新発想

 正攻法だと思います。成功を期待しています。
http://www.stv.ne.jp/news/streamingWM/item/20080528191404/index.html

ACEIとARBの併用は効果に差がなく害がふえる

 ACEI(アンギオテンシン変換酵素阻害剤)については、15万人規模のランダム化比較試験で心不全やハイリスク糖尿病などに対するものなど、その有効性について立証されてきていますが、ARB(アンギオテンシンレセプター拮抗剤)については、まだ心機能が低下した心不全に対する有効性など限られたものしか報告されていないようです。そこでACEIとARBを直接比較した研究がありました。

N Engl J Med. 2008 Apr 10;358(15):1547-59. Epub 2008 Mar 31.
Telmisartan, ramipril, or both in patients at high risk for vascular events.
ONTARGET Investigators, Yusuf S, Teo KK, Pogue J, Dyal L, Copland I, Schumacher H, Dagenais G, Sleight P, Anderson C.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18378520


  • 血管疾患やハイリスク糖尿病の方が
  • ARB(telmisartan 80mg)内服すると
  • ACEI(ramipril 5-10mg)またはtelmisartanとramiprilの併用と比べて
  • 心血管疾患による死亡、心筋梗塞、脳梗塞、心不全による入院の複合アウトカムがふえるのか
  • 治療、ランダム化比較試験

結果
ramipril group (16.5%)に比べて
telmisartan group (16.7%; relative risk, 1.01;95% confidence interval [CI], 0.94 to 1.09)
combination-therapy group (16.3%;relative risk, 0.99; 95% CI, 0.92 to 1.07)


副作用は・・・
Ramipril(N = 8576) 2099 (24.5)
Telmisartan(N = 8542) 1962 (23.0)
CombinationTherapy(N = 8502) 2495 (29.3)

 やはり併用群で多いようですね。併用しても効果には差がなく害が増える・・・併用はなるべく避けたいですね。

2008年6月2日月曜日

総合医が地域医療再生のカギとなる

 週刊医学界新聞で「時代の要請に応えるジェネラリストを育てる」をテーマに鼎談が掲載されています。
 http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02783_01