2008年5月28日水曜日

喘息発作にネオフィリン?

 当直医のための喘息発作対応マニュアルを作成しました。「ネオフィリンは入れなくてよいのか?」という質問を受けました。ネオフィリンは効果がなく害があるという論文があったと思いますが、裏付けをとってみることにしました。

Cochrane Database Syst Rev. 2000;(4):CD002742.
Addition of intravenous aminophylline to beta2-agonists in adults with acute asthma.
Parameswaran K, Belda J, Rowe BH.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11034753

  • 気管支喘息の急性増悪でβ刺激薬吸入をすでに使っている方に
  • aminophylline静注を行うと
  • プラセボと比較して
  • 呼吸機能(ピークフロー値と1秒量)は改善するか
  • 治療、ランダム化比較試験のメタ分析

結果
どの時期においても、aminophyllineによって有意差が出なかった。
副作用は動悸・不整脈がOR: 2.9倍(95% CI: 1.5 to 5.7)、嘔吐がOR: 4.2倍(95% CI 2.4 to 7.4)と多かった。


 あまり効果がなくて害はある、ということでよさそうです。 COPDや小児の喘息についてはネオフィリンの効果が証明されているものもあります。

2008年5月27日火曜日

Clopidogrel vs Aspirin

 「脳梗塞予防にプラビックスを」
 アスピリンより優れているとclopidogrelが宣伝されています。どの程度優れているのでしょうか?調べてみました。2000年のsystematic reviewが今のところ最新です。

Stroke. 2000 Jul;31(7):1779-84.
Thienopyridines or aspirin to prevent stroke and other serious vascular events in patients at high risk of vascular disease? A systematic review of the evidence from randomized trials.
Hankey GJ, Sudlow CL, Dunbabin DW
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10884487

  • 血管疾患ハイリスクの方に
  • thienopyridines(ticlopidineまたはclopidogrel)を投与すると
  • aspirinと比べて
  • 血管イベント(脳梗塞、心筋梗塞、血管疾患による死亡)が減るか
  • 治療、systematic review
結果(4研究、22 656人)
thienopyridinesは血管イベントのオッズを9%減らす(オッズ比 0.91, 95% CI 0.84 to 0. 98)
これは2年で1000人治療すると11人減らすということになる。


 これはやはりaspirinよりclopidogrelということなのでしょうか?ここでCOPEを考えてみたいと思います。
http://comet-log.blogspot.com/2008/02/cope1.html

 プラビックス75mgが1錠289.6円、バイアスピリン100mgが6.4円です。

NNT=1000/11=91ですから、
COPE=91×2×(289.6-6.4)×365=18812976

 ひとつの血管イベント予防のために増える費用が1881万円です。効果は費用に見合うのでしょうか? この高価な薬を使用すべき人はどんな人かについての情報がさらに必要ですね。

2008年5月23日金曜日

トロポニンT陽性は必ず心筋梗塞か

 労作時の前胸部痛のため救急搬送されてきた30歳代男性。発症から1時間以上経過していましたが、救急車到着時には胸痛もなくなり落ち着いていました。心電図上明らかなST変化(心筋虚血変化)なし。心臓超音波検査でも心筋壁運動障害はみられませんでした。
 血液検査でも心筋逸脱酵素は基準範囲。しかし、「トロポニンT 弱陽性」

 トロポニンTの特異度はどれくらいだったでしょうか?調べてみました。

J Fam Pract. 2000 Jun;49(6):550-6.
ACP J Club. 2001 Jan-Feb;134(1):28.
A systematic review of troponin T and I for diagnosing acute myocardial infarction.
Ebell MH, Flewelling D, Flynn CA.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10923557

  • 救急室を受診した方に対して
  • 心筋梗塞に対するトロポニンTの感度特異度はどれほどか
  • 診断、システマティックレビュー
結果 発症1時間では、感度10-45%、特異度87%

 感度45%であれば陽性尤度比3.46、陰性尤度比0.63となります。これは、心筋梗塞の確率が50%でトロポニンT陽性であれば、確率が78%になるということです。
 仮に、この方の心筋梗塞の確率を20%としても・・・トロポニンT陽性でも46%までしか確率は上がらないことになります。

 緊急搬送、あなたならどうしますか?

2008年5月21日水曜日

コレステロール測定は年1回?

 紹介状を持って受診した高脂血症の50歳代の男性。前医では血液検査をしてくれないからこちらで診てほしい、とのこと。毎月測定してほしい様子でしたが、なんとか3か月に1回という診療計画で落ち着きました。
 コレステロールはそれほど変動がありませんから、年1-2回程度でやっていましたが、一体どれくらいの測定間隔がよいのでしょうか?

Ann Intern Med. 2008 May 6;148(9):656-61.
Monitoring cholesterol levels: measurement error or true change?
Glasziou PP, Irwig L, Heritier S, Simes RJ, Tonkin A; LIPID Study Investigators.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18458278

 プラバスタチンによる冠動脈疾患2次予防のランダム化比較試験であるLIPID(Long-Term Intervention with Pravastatin in Ischaemic Disease) Studyに参加した方の血清コレステロール値の変化を検証。短期間の変動(noise)と長期間の治療効果の検出力(signal)とを見積もった。

結果
 個人内の変動は年々大きくなり、標準偏差は15mg/dLから23mg/dLであった。これは、長期間の治療効果の検出力が短期間の変動を上回るのに4年かかるということである。

 
 あのCentre for Evidence-Based Medicine, Department of Primary Health Care, University of Oxford, Oxford, United Kingdomからの論文です。
 短期的な変動は大きいため、年1回の検査でもコレステロール増加のほとんどは偽陽性かもしれないということです。そんなに一生懸命検査しないようがよい、ということでしょうか。
 十分理解するには論文と格闘が必要です。もう少し勉強してみます。

2008年5月17日土曜日

地域医療再生への処方箋?

 医療に関しては同じような解決策を提案している2つの記事から。

中心市に周辺も利用できる都市機能を 地方の人口減対策
http://www.asahi.com/politics/update/0515/TKY200805150289.html
 
 地方の人口減少への対策を検討してきた総務省の「定住自立圏構想研究会」(座長・佐々木毅学習院大教授)は15日、報告書をまとめ、増田総務相に提出した。地域の中心市に、暮らしに必要な都市機能を重点的に整備し、周辺市町村の住民はこの機能を利用する方向を打ち出した。自治体の規模にかかわらず支援し、発展することをめざす従来の政府の考え方の転換を促す内容だ。
 報告書は、05年は約6400万人だった地方圏の人口が35年には約5200万人に減るという予測や、高齢化が進むことに触れ、「小さな市町村の区域だけでサービスを完結することは、より割高かつ困難になりつつあり、中心市の都市機能を周辺地域の住民が活用するなど圏域として考えることが必要」と指摘。そのうえで「中心市が周辺地域の住民の分も含め、圏域全体の暮らしに必要な都市機能を集約的に整備」するとした。

 報告書を受け取った増田氏は「財政措置は限りある中で考えていかなければならない。バラマキではなく、ぐっと絞ることが大事だ。地域をちゃんと残し、しかし一方でバラマキではないやり方を両立させることが大変重要だ」と述べた。


地域医療:再生へ、首相が改革表明--社会保障国民会議
http://mainichi.jp/select/science/news/20080517ddm008010151000c.html

 福田康夫首相は16日、首相官邸で開かれた政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大教授)で、救急患者のたらい回しや医師不足が深刻化する地域医療について、「限りある資源を必要な分野に集中的に投入できるよう大胆な構造改革を進める」と、地域医療再生に向け、早期に改革を実施する意向を表明した。
 具体的には、複数の市町村にまたがる地域の病院や、診療所がグループ化し、救急医療や高度・専門医療から外来診察、健康相談まで、地域として一体的な医療サービス体制の構築が検討されている。同会議が6月上旬にまとめる中間報告に盛り込まれる。


 地域医療をどう支えていくか、どう連携していくか、医療機関がこれまで以上に具体的に議論する必要があるでしょう。これからは、同一地域に2つの同じ機能は必要ないのでは?やはり再構築が必要ですね。

参加型情報サイト

 参加型の情報源をいくつか見つけましたので、ご紹介します。

口コミ病院検索QLife
http://www.qlife.jp/

病院検索&口コミサイトQLifeへようこそ!
QLifeは、全国約16万病院を網羅した日本最大級の口コミサイトです。行かないと分からない病院の雰囲気を口コミという形で紹介しています。どんな口コミが投稿されているか、ここで紹介しましょう!

「みんなで作る家庭の医学」プロジェクト
http://wiki.qlife.jp/

あなたの体験を募集しています
あなたご自身や、あなたのご家族が、不幸にして病に倒れた時、その病気や治療法について、書籍やネット、口コミなど様々な方法で調べませんでしたか?このプロジェクトは、そうして皆さんが調べ上げた貴重な知識や体験をWikiという仕組みを使って辞書として収集、記録することで、同じ病気で悩む他の患者さんやご家族の支援に役立てる事を目的としています。


 こうした情報発信が増えてきていますね。ネット情報の利点と限界を知った上で、良心的・効果的に使われていくとを期待します。

2008年5月16日金曜日

「総合医」養成を

医師不足対策に道路財源を活用・厚労相が要求
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080514AT3S1402914052008.html

 舛添要一厚生労働相は14日、私的懇談会の「安心と希望の医療確保ビジョン会議」を開催し、医師の増員などを柱とする同ビジョンの骨子を公表した。厚労相は「道路特定財源の一般財源化はチャンス」と述べ、対策の実行に必要な財源を道路予算に求めていく方針を明言した。厚労相には医師不足対策を突破口にして、社会保障費を毎年2200億円抑制する政府目標を修正する狙いがある。
 
 骨子には医師の養成数に数値目標を設定することや、女性医師の離職防止・復職支援などの政策を打ち出す方針を明記した。医師数を単に増やすだけでなく、地域や診療科ごとの偏在を解消するほか、幅広い疾患を全体的に診る「総合医」も育成するとした。


 偏在を解消するというより、診療科ごとの医師数を適正化するということのほうがよいでしょう。適正化するには、疾患ごとの詳細な統計情報によるシミュレーションが必要です。
 しかし、国内の医療統計はこれに十分たえられるものなのでしょうか?癌登録でさえできなかった国です。現状を把握できずに将来の医療を提案できるのでしょうか。道はかなり険しいです。
 効率性という面からはまだまだ現場に改善の余地があるはずです。来るべき高齢化社会に対して、医療にもニーズに見合った大きな構造改革が必要ではないでしょうか。総合医育成は急務です。

2008年5月14日水曜日

魔の時間帯10-11時

 大阪府医師会の診療所インシデント報告分析が公表されています。
 魔の時間帯、月曜10-11時。たいへん混雑して待ち時間も長くなる時間帯です。インシデントが多くなるのもわかるような気がします。気をつけたいです。
http://www.japan-medicine.com/news/news1.html

間質性肺疾患の診断はKL-6?

 慢性関節リウマチの方が呼吸困難で来院されました。間質性肺疾患の診断でステロイドパルスを行い、改善みられています。
 ところで、間質性肺疾患のマーカーはSP-A、SP-D、KL-6などがありますが、どれがいいのか話題になりました。

Am J Respir Crit Care Med. 2002 Feb 1;165(3):378-81.
Comparative study of KL-6, surfactant protein-A, surfactant protein-D, and monocyte chemoattractant protein-1 as serum markers for interstitial lung diseases.
Ohnishi H, Yokoyama A, Kondo K, Hamada H, Abe M, Nishimura K, Hiwada K, Kohno N.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11818324

  • 間質性肺疾患(特発性および膠原病合併)に対して
  • KL-6, SP-A, SP-D, MCP-1の感度・特異度はどれほどか
  • 診断

結果
     感度, 特異度, 診断精度
KL-6 93.9%, 96.3%, 95.7%
SP-A 81.8%, 86.6%, 85.2%
SP-D 69.7%, 95.1%, 87.8%
MCP-1 51.5%, 92.7%, 80.9%


 愛媛大学の研究でした。軍配はKL-6に上がったようです。
 ところで、間質性肺疾患のステロイド大量投与の効果については、いまだ比較試験は行われていないようです。驚きです。

2008年5月11日日曜日

プラセボの予後(1)小児偏頭痛は46%改善

 何もしなければどうなるのか?治療を行う上で、常につきまとう疑問です。
 もし、病気の予後がよければ、医療の恩恵を受けなくても済むかもしれません。医療は、治療に対する効果を強調するだけではなく、治療しなかった場合の予後についても、適正な情報を提供すべきではないでしょうか。医療の利益と医療を受けなかった場合の不利益、その両者の情報があってはじめて、医療を受けるかどうかを正しく判断することができるからです。
 プラセボ(偽薬)の予後はどうなったのか。治療に関する臨床試験の結果から、時々取り上げて検討してみたいと思います。

J Pediatr. 2008 Apr;152(4):527-33, 533.e1. Epub 2007 Dec 3.
The placebo response in studies of acute migraine.
Fernandes R, Ferreira JJ, Sampaio C.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18346509

  • 小児の偏頭痛患者に
  • プラセボを投与すると
  • 頭痛はどれほど改善するか、2時間での頭痛消失率はどれほど改善するか
  • 予後、メタ分析
結果
13研究(1324人のプラセボ群)において、
頭痛改善 46% (range, 38% to 53%)
2時間での頭痛消失 21% (range, 17% to 26%)


 小児の偏頭痛は、偽薬でも46%(少なく見積もっても38%)改善し、約2割は治癒していたということになります。
 医療って何でしょうか。よく考えたいです。

2008年5月8日木曜日

この腎嚢胞って本当に良性?-Bosniak分類

 腹部CT検査で腎に1cmのhigh density(高吸収)な嚢胞様の腫瘤が。明らかに良性病変に見えますが、本当に良性といえるのでしょうか?

 久しぶりにMD consult(電子教科書データベース)にアクセス。Bosniak分類というのを見つけました。ボスニア分類と読むのでしょうか?
 Hyperdense lesion with no enhancement(造影効果のない高吸収病変)はBosniak分類ではII、悪性腫瘍のリスクは0-5%で、定期的な検査が必要、ということでした。

 Bosniak分類について日本語の発表はあるようですが、分類そのものの日本語の情報源は検索でうまくみつけられませんでした。Bosniak分類の原著論文(1997年)はオンラインで入手できませんでしたが、2005年のBosniakらのreviewが見つかりました。

Urology. 2005 Sep;66(3):484-8.
An update of the Bosniak renal cyst classification system.
Israel GM, Bosniak MA.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16140062


Table I . Bosniak renal cyst classification system
I
A benign simple cyst with a hairline thin wall that does not contain septa, calcifications, or solid components. It measures water density and does not enhance.

II
A benign cyst that may contain a few hairline thin septa in which “perceived” enhancement may be present. Fine calcification or a short segment of slightly thickened calcification may be present in the wall or septa. Uniformly high attenuation lesions <3 cm (so-called high-density cysts) that are well marginated and do not enhance are included in this group. Cysts in this category do not require further evaluation.

IIF (F for follow-up)
Cysts that may contain multiple hairline thin septa or minimal smooth thickening of their wall or septa. Perceived enhancement of their septa or wall may be present. Their wall or septa may contain calcification that may be thick and nodular, but no measurable contrast enhancement is present. These lesions are generally well marginated. Totally intrarenal nonenhancing high-attenuation renal lesions >3 cm are also included in this category. These lesions require follow-up studies to prove benignity.

III
“Indeterminate” cystic masses that have thickened irregular or smooth walls or septa in which measurable enhancement is present. These are surgical lesions, although some will prove to be benign (eg, hemorrhagic cysts, chronic infected cysts, and multiloculated cystic nephroma), some will be malignant, such as cystic renal cell carcinoma and multiloculated cystic renal cell carcinoma.

IV
These are clearly malignant cystic masses that can have all the criteria of category III, but also contain enhancing soft-tissue components adjacent to, but independent of, the wall or septum. These lesions include cystic carcinomas and require surgical removal.

 IIは経過観察不要となっています。これでひとまず安心です。
 臨床では役に立ちそうです。これから腎嚢胞を見たら、「Bosniak分類では・・・」と考えてみたいです。

2008年5月7日水曜日

本当にワインは糖尿病にいい? (3)

 論文の前文にこのような記載が。

 いくつかの小規模・短期間の研究で、5-20人の2型糖尿病患者について適度なアルコール摂取で血糖値が下降したというものがあるが、血糖コントロールに変化がみられないとする研究もある。

 なろほど。2007年の時点では、アルコールの血糖コントロールに対する効果については結論が出ていない、ということのようです。この研究でも、空腹時血糖は下降する、という結果でしたが、飲酒が糖尿病にいいと結論づけられるものではなさそうです。

 また、今回の対象患者の平均HbA1cはアルコール群7.37%、対照群7.08%でした。(有意差はないようですが・・・)

 さきほどのHbA1c 12%の男性については、やはりワインを勧めないというのは妥当な判断と思われました。再度本人には説明し、納得していただきました。

地域医療を守る地方議員連盟 発足

asahi.com 北海道より
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000804280001

 医師不足と財政難の中で地域の医療を守っていくにはどうしたらいいか――。そんな危機感から立ち上がった道内の自治体の議員らが26日、初の超党派ネットワーク「地域医療を守る地方議員連盟」を発足させた。札幌市内で開かれた設立総会には、現職議員26人をはじめ、18市町から前議員や医師、研究者、自治体職員ら計約50人が参加。11市町の13議員からも賛同が寄せられた。自治体、党派の枠を超えた情報交換や勉強会を重ねながら、提言と実践をめざす。

 顧問に就任した夕張医療センターの村上智彦医師は、同市の地域医療が崩壊した理由として「行政の不作為、怠慢」「タクシー代わりの救急車の利用やコンビニ感覚での病院利用など住民の『わがまま意識』」を指摘。「病院や医師の多さが地域の人々の健康を保証するのではない。住民の意識の高さが健康をつくり、結果的に医療費を安くする」と述べ、地方議員に住民の意識啓発を求めた。


 地域医療とは、医療人・住民・行政が三位一体となり医療を展開するプロセスです。医療人の努力は当然ですが、住民そして行政の努力も必要不可欠なものです。将来の医療について、住民が真剣に考えていただかなくてはならない時期にきていると思います。

2008年5月5日月曜日

本当にワインは糖尿病にいい? (2)

 PubMedのclinical queriesを使って検索。"diabetes wine"と入力して5件ヒットしました。(ここまで10秒)そのうち一つ目がズバリ的中でした。(30秒)
 2007年12月のイスラエルの多施設ランダム化比較試験です。

Diabetes Care.
2007 Dec;30(12):3011-6. Epub 2007 Sep 11.
Glycemic effects of moderate alcohol intake among patients with type 2 diabetes: a multicenter, randomized, clinical intervention trial.
Shai I, Wainstein J, Harman-Boehm I, Raz I, Fraser D, Rudich A, Stampfer MJ.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17848609

  • 糖尿病と診断されている人に
  • 3か月間、毎日ワイン150mLを飲んでもらうと
  • ノンアルコールビールと比べて
  • 血糖値(空腹時、食後)は下がるか
  • 治療、ランダム化比較試験

結果
空腹時血糖は下がった。
アルコール:139.6から118.0mg/dL、対照:136.7から138.6mg/dL
食後2時間の血糖値は変わらなかった。

 少なくとも空腹時血糖は下げるらしい。さらにHbA1cが高い人(糖尿病コントロールが悪い人)のほうがよく下がるらしい、ということのようです。(ここまで3分)

 それではこの結果をあの糖尿病の方に適用して説明していいのでしょうか。予想以上にすぐに論文が見つかったため、彼はまだ待合室にいます。すぐに図書館の電子ジャーナルにアクセスして、論文を読んでみることにしました。(便利な時代になりましたね・・・)


(つづく)

2008年5月1日木曜日

地域医療再建の処方箋

江別市立病院 再建着々、内科医派遣へ 岩内、美唄に(05/01 08:06)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/90255.html

 【江別】医師不足に悩む道内の二病院へ、江別市立病院が内科医の派遣を決めた。同病院は十二人いた内科医が一昨年秋にゼロとなった医療崩壊から立ち直り、現在は十人になった。梶井直文院長は「同じ苦境を経験した立場から、地域医療の再建に協力したい」としている。

 内科医ゼロに陥った江別市立病院は、再建へ「総合内科」を打ち出し、七人の総合内科医を集めた。内科医療が臓器別に高度化し、医師が専門以外を診るのが苦痛になっているのに対し、全般に通じた一人の医師が患者の全身症状を診るという、公立病院では珍しいシステムだ。

 二病院に派遣されるのも二人の総合内科医。派遣期間は三カ月で医師が確保できなければ継続する。梶井院長は「医師ゼロから再スタートの基礎を築けるのは総合内科医。今回の派遣で、その実力を発揮できる」と話す。


 まったく同感です。崩壊した地域医療を再生できるのは専門医ではなく、総合診療能力のある臨床医しかありません。