2008年12月26日金曜日

76歳以上の大腸癌検診は推奨しない

 大腸癌検診についてUS Preventive Services Task Forceからのガイドラインが発表されています。
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Ann Intern Med. 2008 Nov 4;149(9):627-37. Epub 2008 Oct 6.
Screening for colorectal cancer: U.S. Preventive Services Task Force recommendation statement.
U.S. Preventive Services Task Force.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18838716
◆◆◆ by COMET

RECOMMENDATIONS:
The USPSTF recommends screening for colorectal cancer using fecal occult blood testing, sigmoidoscopy, or colonoscopy in adults, beginning at age 50 years and continuing until age 75 years. The risks and benefits of these screening methods vary. (A recommendation). The USPSTF recommends against routine screening for colorectal cancer in adults 76 to 85 years of age. There may be considerations that support colorectal cancer screening in an individual patient. (C recommendation). The USPSTF recommends against screening for colorectal cancer in adults older than age 85 years. (D recommendation). The USPSTF concludes that the evidence is insufficient to assess the benefits and harms of computed tomographic colonography and fecal DNA testing as screening modalities for colorectal cancer. (I statement).
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 76歳以上の定期検診は早期発見・治療による効果が少なく、害(内視鏡検査による深刻な合併症は400件に1件)もあり、勧められない、との勧告です。
 検診も費用対効果をよく検証しなければならないでしょう。

2008年12月25日木曜日

医療情報の質評価 by COMET

 この医療情報の質は保証されているか
http://comet-log.blogspot.com/2008/12/blog-post_17.html 
 この評価基準をもとに、医療情報の質評価の基準を作成してみました。今後ここで紹介する医療情報(リンク)については、以下の4つの基準で評価したものを、試行的に掲載してみることにします。
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医療情報の質評価 by COMET
1) 掲載された情報の学術的根拠または引用が明らかにされているか
2) 掲載された情報の記載日が明らかにされているか
3) 掲載されたサイトに編集指針、利用者のプライバシー保護についての考えが示されているか
4) 情報に一定の偏り(営利性など)がないか
それぞれの基準について3段階評価(0-2, 8点満点)し、合計点で判定する。
 ◆◆◆ by COMET 8点
 ◆◆◇ by COMET 6-7点
 ◆◇◇ by COMET 5点以下
 ◇☐◇ by COMET 判定保留(十分な情報がない)
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 この質評価の基準は妥当性が証明されていません。今後、随時修正してみたいと思います。

 地域医療日誌 by COMET ◆◆◇ by COMET

 修正しました。(2009/1/3)

2008年12月24日水曜日

気管支喘息にLABAは死亡をふやす

 FDAから気管支喘息のLABAs(長時間作用型β刺激薬)に関するメタ分析が出ています。情報はDynamedより発信されていました。早いです。PDFは460ページあります。ご注意ください。
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Long-Acting Beta-Agonists and Adverse Asthma Events Meta-Analysis
Statistical Briefing Package for
Joint Meeting of the Pulmonary-Allergy Drugs Advisory Committee, Drug Safety andRisk Management Advisory Committee and Pediatric Advisory Committee on
December 10-11, 2008
http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/08/briefing/2008-4398b1-01-FDA.pdf
http://www.fda.gov/default.htm

■気管支喘息患者に
■LABAsを使用すると
■プラセボ・短時間作用型β刺激薬・吸入ステロイド等と比較して
■喘息関連入院・挿管・死亡の複合アウトカムは減るか
■治療、メタ分析

■結果
複合アウトカム
LABAs群 1.26%
比較群 0.99%
(p < 0.05, NNH 357)
喘息による死亡
LABAs群 0.05%
比較群 0.01%
(p < 0.05, NNH 2,500)

Based on the findings from this meta-analysis, LABAs as a group were associated withan increased risk of an asthma composite endpoint consisting of asthma-relatedhospitalization, asthma-related intubation, and asthma-related death among asthmaticsubjects. This overall finding for the asthma composite endpoint was supported both byasthma-related hospitalization and the asthma-related death components. However,findings for individual drugs and subgroups were driven by the asthma-relatedhospitalization component.
The increased risk was seen in three of the four drugs studied, Foradil, Serevent, andSymbicort, but was not apparent in Advair. The increased risk was not apparent when theLABA was used in conjunction with an ICS.
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 LABAsを使用すると、2500人に1人殺してしまうという結果です。使用しないほうがよさそうです。
 Sereventはセレベント(グラクソSK)。Symbicort(アストラゼネカ、国内未承認)はステロイドとの合剤です。

過敏性腸症候群のsystematic review

 ひきつづき過敏性腸症候群の話題。
 米国消化器病学会でこのほど過敏性腸症候群のsystemetic reviewを発表しています。全文PDF入手可能となっています。
http://www.nature.com/ajg/journal/v104/n1s/abs/ajg2008122a.html

 よくまとめられているレビューだと思います。少し勉強したいと思います。

2008年12月23日火曜日

過敏性腸症候群にペパーミントオイル

 過敏性腸症候群(IBS)のメタ分析がありました。
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BMJ. 2008 Nov 13;337:a2313.
Effect of fibre, antispasmodics, and peppermint oil in the treatment of irritable bowel syndrome: systematic review and meta-analysis.
Ford AC, Talley NJ, Spiegel BM, Foxx-Orenstein AE, Schiller L, Quigley EM, Moayyedi P.

■成人のIBS患者に
■食物繊維、鎮痙剤、ペパーミントオイルを投与すると
■プラセボまたは無治療と比較して
■自覚症状全般は改善するか、腹痛は改善するか
■治療、メタ分析(ランダム化比較試験のメタ分析)

■結果
食物繊維(12研究, n=591)
症状持続の相対危険 0.87, 95%信頼区間0.76 to 1.00
しかし、効果がみられたのはispaghula(サイリウム)のみであった。
鎮痙剤(22研究, n=1778)
症状持続の相対危険 0.68, 95%信頼区間0.57 to 0.81
ペパーミントオイル(4研究, n=392)
症状持続の相対危険 0.43, 95%信頼区間0.32 to 0.59
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 ペパーミントオイルが予想外に健闘しています。アロマテラピーでも使われており、手軽に入手可能です。IBSの方にはお勧めできるかもしれません。
 最近ではペパーミントの蠕動運動抑制効果を利用して、内視鏡検査の処置に使用することもあるようです。知りませんでした・・・。
http://dept.md.shinshu-u.ac.jp/endoscopy/program/080518/09.html
http://blog.ukawaiin.com/2008/12/blog-post_13.html
http://www.ntt-east.co.jp/kmc/bumon/c_naishikyou.html

 過去に紹介したコンテンツです。結構忘れていて驚きます。
過敏性腸症候群に少量抗うつ剤
http://comet-log.blogspot.com/2008/06/blog-post_28.html
過敏性腸症候群
http://comet-log.blogspot.com/2008/10/blog-post_27.html

2008年12月22日月曜日

ビタミンE・Cには癌予防効果はない

 ビタミンの癌予防効果を検証したランダム化比較試験です。
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JAMA. 2008 Dec 9. [Epub ahead of print]
Vitamins E and C in the Prevention of Prostate and Total Cancer in Men: The Physicians' Health Study II Randomized Controlled Trial.
Gaziano JM, Glynn RJ, Christen WG, Kurth T, Belanger C, Macfadyen J, Bubes V, Manson JE, Sesso HD, Buring JE.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19066368

■ 米国の男性医師(14 641名、うち1307名が前立腺癌既往あり)に
■ビタミンE 400IU隔日または/かつビタミンC 500mg毎日を投与すると
■プラセボに比べて
■前立腺癌および全部位の癌の発生が減るか
■予防、ランダム化比較試験(2×2×2×2 factorial trial)

■結果
平均8年間の経過観察期間 
前立腺癌1008例
 ビタミンE 9.1/1000人年
 プラセボ 9.5/1000人年
 hazard ratio [HR], 0.97; 95% confidence interval [CI], 0.85-1.09; P = .58
 ビタミンC 9.4/1000人年
 プラセボ 9.2/1000人年
 HR, 1.02; 95% CI, 0.90-1.15; P = .80
全部位の癌1943例
 ビタミンE 17.8/1000人年
 プラセボ 17.3/1000人年
 HR, 1.04; 95% CI, 0.95-1.13; P = .41
 ビタミンC 17.6/1000人年
 プラセボ 17.5/1000人年
 HR, 1.01; 95% CI, 0.92-1.10; P = .86

ビタミンE、Cとも肺癌、大腸癌やその他の特定の癌との関連はみられなかった。
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 ビタミンEもビタミンCも癌予防には効果が認められませんでした。
 これは2008年8月に発表された論文ですが、効果がなかったということも重要な科学的知見です。健康食品など宣伝効果がある場合には、可能性があるという段階でも派手に報道されますが、結果的に効果が認められなかった場合には、ほとんど取り上げられずにひっそりと消えていくものです。こうした情報も取り上げていきたいと思います。

2008年12月21日日曜日

Zingoが製造中止に

 以前ご紹介した注射のいらない粉麻酔Zingo
http://comet-log.blogspot.com/2008/04/blog-post.html
2008年11月にリコールで回収、今後製造する予定はないようです。
http://www.anesiva.com/
http://www.zingo.com/
製品の画像も見れなくなっています。
残念ですね。

2008年12月20日土曜日

加古川市民病院、現場に波紋今も (2)

 「新小児科医のつぶやき」には、判決文が紹介されています。 http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070731
12時ごろ
自宅で発作。家族がY病院に電話し,Y病院看護師が「心筋梗塞と思われるのですぐに来院するように」と指示。
12:15
病院に到着
12:30
この時間までに心電図検査がなされ,心電図上,II,III,aVfにST上昇が見られた。さらにZ医師は,本件患者を問診し,11時30分ころから胸痛が持続していることを聞いた。
12:39
Z医師は,心筋梗塞を強く疑い,採血オーダーを出した。Z医師は,本件患者が急性心筋梗塞であると判断したが,直ちに上記三病院の一つに転送するための行動はとらなかった。
12:45
ソリタT3 500mlを点滴してルート確保
13:03
ミリスロールを点滴開始。本件患者の血圧は150/96で,胸部圧迫痛は持続していた。
13:10
血液検査オーダーとは別途,Z医師自らトロポニン検査を実施したところ,心筋梗塞陰性との結果を得た。
13:40
血液検査の結果が出て,心筋梗塞陰性だった。
13:50
Z医師は,転送を決定し,高砂市民病院に転院の受入れを要請した。
14:15
高砂市民病院から受入了承の連絡を受けた。
14:21
救急車の出動を要請した。
14:25
救急車到着。本件患者は,内科処置室の被告病院のストレッチャーの上で点滴を受けており,意識は清明。
14:30
救急車のストレッチャーに移す際に意識喪失,呼吸不安定。ストレッチャーに移された直後に徐脳硬直が見られた。それまでモニターは装着されていなかったし,容態急変の直後にもモニターは装着されていなかった。Z医師は,これをみて,脳梗塞を合併したと疑い,救急隊にCT室に運ぶように指示したが,CT室に着く前に自発呼吸まで消失したので,蘇生のため処置室に戻した。
14:47
エピネフリン投与。援助を求められた別医師が気管挿管。
15:36
死亡確認。なお電気的除細動は一度も行われていない。
*

 搬送の決断までにやや時間がかかっているとはいえ、胸痛患者を受け入れた場合には起こりうる経過・転帰と思われます。このような判例が出てしまえば、救急受け入れを「厳選」しなければならなくなるのは当然です。全ての治療ができる病院でなくては、救急患者を受け入れられなくなります。
 このような問題を放置したまま、救急を受け入れないほうが問題、では現場は困ります。
 病院の受け入れ能力が低下したのは、これまでなんとかリスクを承知で受け入れをしていた病院が受け入れをやめてしまったことが一因となっているのではないでしょうか。

 これは救急問題だけでとどまりません。1次医療機関で患者が死亡すると、なぜ3次医療機関に搬送しなかったのかと責められるかもしれません。日本の医療に対する取り組み方への問題提起だと思います。

 やはり、これからも救急患者の受け入れは慎重に厳選せざるをえません。

2008年12月19日金曜日

加古川市民病院、現場に波紋今も (1)

 加古川心筋梗塞事件について、調べてみました。

神戸新聞9/20より

加古川市民病院、急患死亡で敗訴 現場に波紋今も 
http://www.kobe-np.co.jp/news/kurashi/0001463280.shtml
 昨年四月に言い渡された一つの判決が医療現場に波紋を広げている。加古川市の加古川市民病院が、心筋梗塞(しんきんこうそく)の急患に適切な対応をせず死亡させたとして、約三千九百万円の損害賠償を命じられた神戸地裁判決。医師の手薄な休日の急患だったことから、病院関係者は「医師不足の中で患者を受け入れている現状を考慮していない」と反発。救急患者の受け入れに慎重になる動きも出ている。一方、医療訴訟に詳しい弁護士は「過剰反応」と指摘する。(東播支社・田中伸明)

 「判決を理由に、救急患者の受け入れを断る医療機関は多い」-。姫路市消防局の担当者は打ち明ける。
 以前は、専門的な治療ができなくても重症患者を受け入れ、転送先が決まるまで応急処置をしていた医療機関が、受け入れに慎重になる例が目立つという。
 姫路市では昨年十二月、十七病院から受け入れを断られた救急患者が死亡した。担当者は「判決が、救急事情悪化の背景になったことは否めない」とする。

 裁判は、心筋梗塞への専門的な治療体制を持たない加古川市民病院の転送義務が争点になった。
 二〇〇三年三月三十日、男性患者=当時(64)=が息苦しさを訴え、以前かかっていた同病院を受診。対応した医師は心筋梗塞を強く疑い、血管を拡張するための点滴をしたが回復せず、来院の約一時間半後に他病院へ転送依頼。しかし、その後容体が悪化、死亡した。
 遺族側は、重症の心筋梗塞には管状の「カテーテル」を挿入する治療法が欠かせないと指摘。この治療ができない同病院は、ほかの医療機関へ男性を速やかに転送すべきだったのに、その義務を怠った-と主張した。
 一方、病院側は、当日は日曜で他病院の受け入れ態勢も十分ではなく、病院間の協力態勢も確立されていなかったなどとし、早急な転送は困難だった-とした。
 判決は、患者側の主張を全面的に認め、訴額全額の支払いを命じた。病院側は控訴しなかった。

 判決は、病院の勤務医らの反発を呼んだ。
 交通事故の重症患者を受け入れている姫路市内の病院の救急担当医は「自分たちで対応できる状態かどうか、受け入れてみないと分からない。能力を超えた場合、近隣で転送先を探すのは難しい」と強調する。
 山間部の小規模病院の医師も「専門的な治療体制がより求められるようになれば、可能な限り患者を受け入れるへき地の診療が成り立たなくなる」と話す。

 近年の公立病院などでの医師不足は、訴訟や刑事訴追の増加が一因とされる。加古川市民病院の判決は、福島県立大野病院の産婦人科医逮捕などと同様、医師向けのブログなどで「不当」との批判が相次いでいる。
 こうした動きに対し、患者の立場で医療訴訟を多く手がけてきた泉公一弁護士は「判決は、証拠に基づいた極めて妥当な内容。医療側の過剰反応ではないか」と指摘する。
 「医療現場の事情についても判決は十分考慮した上で、病院側の過失を認定している。内容を精査せず、患者との対立をあおるのは医療不信を招く」と冷静な対応を求めている。

つづく

2008年12月18日木曜日

偏在の原因は何か

 CBニュースから
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/19738.html
 厚生労働省と文部科学省は12月17日、「臨床研修制度のあり方に関する検討会」(座長=高久史麿・自治医科大学長)の第4回会合を開き、検討会事務局が示した見直し案を元に、構成員らが意見交換した。

 舛添要一厚生労働相は冒頭のあいさつで、「臨床研修制度の見直しは、国民の関心度の高い問題だ。国民が求めているのは今、本当にいい医師を養成してくれるシステム。抜本的な改革をやりたい」と述べた。
 検討会事務局は「論点の整理と検討の方向性について(たたき台)」と題し、見直し案を示した。

「卒前・卒後教育を一貫して見通し、臨床研修の質を向上させる」
「大学が担う地域の医師派遣機能を考慮しながら、医師の地域偏在や診療科偏在を是正し、医師不足への対応を行う」
の二点を基本的な考え方として提示。

「地域偏在」「診療科偏在」「臨床研修の質の向上」「一貫した教育」
の4項目について、具体的な提案項目を示した。

「地域偏在」
▽研修医の募集定員に地域別の上限を設定する
▽地域医療の研修を一定期間必修とする
「診療科偏在」
▽内科、救急など特に基本となる診療科で1年間研修し、その後は専門とする診療科で研修できるようにする
▽医師不足の診療科を選択する研修医が確保できるような研修プログラムをつくる
▽研修の開始時点で、将来専門とする診療科での研修も選べるようにする
「臨床研修の質の向上」
▽研修医の到達度を評価する仕組みをつくる
▽研修病院の施設基準を見直す
▽研修医の給与格差を解消する―を提案している。
「一貫した教育」
▽CBTやOSCEなど共用試験の合格水準を標準化する
▽研修終了後のキャリアパスが明らかになるよう、生涯教育のあり方を示す
▽実習の状況を踏まえながら、医学部生の医療行為の取り扱いや国家試験の内容を見直す
▽卒前の臨床実習と卒後の臨床研修の到達目標が一貫したものとなるようにし、併せて医学教育のカリキュラムを見直す

 見直し案について、小川彰・岩手医科大学学長は、医師の地域偏在を解消するためには「臨床研修制度の凍結もしくは制度の抜本的な見直し」と「低医療費政策の改善」が必要だと強調した。さらに、「研修が終わった後、どれだけの研修生が大学に戻ってくるかが重要だ。大都市のない都道府県は医療崩壊の状態にある」と述べ、研修医を対象とした動向調査の結果についても触れた。

 福井次矢・聖路加国際病院長は、「(研修生が)2年間の中で自由に選択することが診療科の偏在につながる原因なのか、考えてみてほしい」と述べ、研修プログラムの見直しに疑問を呈した。
*

 研修制度見直しありきではじまった検討会。福井さんの疑問にもありましたが、はたして初期研修制度が診療科の偏在につながる原因なのか、よく検討が必要ではないでしょうか。
 大学の医師派遣機能で本当によいのか。大学ための改革ではなく、将来のためにどんな医師を育成していくべきか、よく検討していただきたいです。

「救急受け入れ問題FAQ」を作りませんか?

 「救急受け入れ問題FAQ」を作りませんか?というブログを見つけました。医療従事者以外にもわかるような説明を目指して作成されているようです。

http://punigo.jugem.jp/?eid=447
 現在問題になっている「救急受け入れ問題(いわゆる、たらい回し・受け入れ拒否・受け入れ不能…と呼ばれているもの)」について、ブログや掲示板でよく出る質問を、医療関係者以外の人にも分かるように説明するためのFAQを製作しています。

 「設備不十分な状態で患者を受け入れるのは犯罪」という司法の判例(加古川心筋梗塞事件)があるんです。
 「応急処置の後、他病院に転送するのは犯罪」という司法の判例(上に同じく、加古川心筋梗塞事件)があるんです。
*

 加古川心筋梗塞事件について、勉強しておきたいと思います。

2008年12月17日水曜日

この医療情報の質は保証されているか

 ネット検索で膨大な医療情報が入手できるようになりました。しかし、その情報の質にはばらつきがありそうです。質の高い医療情報とはどんな情報か?少し考えてみたいと思います。
 まずネットで検索してみました。聖路加看護大学COE研究員の的場智子さんからの情報です。

看護ネット
http://www.kango-net.jp/nursing/02/index.html
 ホームページに書かれた内容の質については一定の評価方法がまだあまり確立していません。しかし、次の基準をポイントとしてご覧になると良いでしょう。
■営利性のない情報か
■掲載された情報の根拠が記載されている、または引用が明らかにされているか
■掲載された情報の記載日が明らかにされているか
■編集方針(editorial policy)、利用者のプライバシー保護などについての考えを示しているか。
■他のサイトへのリンクが豊富にあるか。ページの信頼性を保障したサイトへのリンクがあるか。
■サイトは見やすく作っているか、アクセスしやすいか。
*

 この情報が掲載されている「看護ネット」では、聖路加看護大学が21世紀COEプログラム(21世紀センターオブエクセレンス)によって取得した大型研究補助金(平成16年~平成20年)により、「市民主導型の健康生成をめざす看護系形成拠点」というテーマのもと様々な開発研究を行っており、その一環として作成された媒体であること、記載者が明記されていること、「プライバシーポリシー」が示されていることなど、多くのポイントが満たされています。(情報の掲載日が記載されていませんが、サイトのどこかに記載があるかもしれません。)
 当ブログも開設して1年。編集方針とプライバシーポリシーの作成を今後の課題としたいと思います。

2008年12月16日火曜日

BMJ Evidence Centre (2)

 患者向けサービス、Best Healthも始まっています。
http://group.bmj.com/products/evidence-centre/best-health

 患者さんが最新のエビデンスをもって診察に訪れる、そんな日も近いかもしれません。

 2009年からは、診療現場で活用できそうなサービスが始まります。
http://group.bmj.com/products/evidence-centre/best-practice
Point-of-care decisions need to be made quickly, and they need to be reliable. You need on-the-spot access to a tool that brings expert opinion, guidelines and evidence together in a single, easy-to-use interface.

 Best Practiceの時代が来るかもしれません。

 Order Entry Setは電子カルテ用のクリニカルパスセットのようです。こちらは施設契約となっています。
http://group.bmj.com/products/evidence-centre/order-entry-sets

 海外ではエビデンスが診療に直接活用される時代に突入しそうです。日本はどんどん遅れをとりそうですね。

2008年12月15日月曜日

BMJ Evidence Centre (1)

 BMJでEvidence Centreなるものが立ち上がっています。
http://group.bmj.com/products/evidence-centre

 Clinical Evidenceはよく知られた二次情報源ですが、その他にいくつものサービスがはじまっています。

 Evidence Updates
http://plus.mcmaster.ca/EvidenceUpdates/

 質の高い論文要約をメール配信してくれる無料サービス(登録が必要)です。以前はBMJ Updatesでしたが、新しいサービスとして生まれ変わっています。興味ある専門分野や配信間隔を設定でき、PubMedにリンクするなど使い勝手もよいサービスです。
 検索できるようになったため、PubMed Clinical Queries検索の前にEvidence Updatesという順がよいかもしれません。

2008年12月12日金曜日

COMETホーム

 診療に利用できる情報を集めたコンテンツ集を立ち上げています。
http://comet-home.blogspot.com/

 診療で使いながら、少しずつ追加していきたいと思います。時間の少ない診療現場になんとか食い込めるよう、工夫してみたいです。リンクだけではなく、オリジナルPDFも織り交ぜて公開しています。
 ちなみに、COMETはCommunity Medicine Education Toolboxの略でした。ツール集を構想して6年、v2.0としてようやく公開できる形になってきています。

2008年12月11日木曜日

奇跡のリンゴ

 奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録(幻冬舎)を手にしました。木村さんは青森県弘前市(旧岩木町)で、既成概念を覆して無農薬でリンゴを栽培するという偉業を成し遂げています。

 自然を細切れに分解して理解しようとするのが自然科学の方法論だが、無数の命がつながり合い絡み合って存在している生きた自然の全体と向き合うのが百姓の仕事だ。

 文明はあまりに進歩し、人間は自分達の根っこがどうなっているか忘れてしまったのかもしれません。根っこがだめになっていると、いつまでも、より強力な農薬を撒きつづけなくてはならなくなります。このことは非常に示唆に富みます。
 たとえば具合が悪いからすぐ救急に頼る風潮は、社会の根っこが弱っているのかもしれません。それに対して救急体制を構築しようとすることは、より強力な農薬を撒こうとすることではないでしょうか。

 百の仕事をして全体を取り扱うことは、百姓も家庭医も似ています。根っこをどうするのか考えられる百医でありたいものです。

2008年12月6日土曜日

家庭医の研修を開業の条件に

 読売新聞の医療ルネサンスより
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20081120-OYT8T00216.htm

 家庭医とは、小児から高齢者まで、診療科の枠を超えて幅広く診察できる医師を指す。ドイツでは、家庭医として開業するには、医師免許に加え、家庭医の専門資格を取得することが必要条件とされている。地域ごとに定数も定められており、医師免許があれば自由に開業できる日本とは、大きな違いがある。

 日本では、開業医ではなく、大病院に患者が集中し、病院医師の過重労働や疲弊を招いている。背景には、信頼できる開業医が見つかりにくい事情がある。
 開業医が幅広い診療能力を養うことができるよう、本紙の医療改革提言で提案したように、「家庭医の研修を開業の条件に」することが必要ではないだろうか。


 家庭医として開業するためには、家庭医の専門研修を受けていなければならない、というのは世界の常識です。しかし、日本では一般診療するための研修なく自由に標榜して診療所を開業することが可能となっています。診療の質に大きなバラツキがあることは明らかです。
 どの開業医も一定の診療の質を担保するような仕組みがなければ、国民の大病院志向はなくならないでしょう。安易に認定を与えるのではなく、質の保証をどう行うのか、日本医師会は責任をもって真剣に議論していただきたいです。

2008年12月5日金曜日

気管支喘息の約3割は過剰診断

 気管支喘息は過剰診断(overdiagnosis)されている、という論文がカナダから出ていました。

CMAJ. 2008 Nov 18;179(11):1121-31.
Overdiagnosis of asthma in obese and nonobese adults.
Aaron SD, Vandemheen KL, Boulet LP, McIvor RA, Fitzgerald JM, Hernandez P,Lemiere C, Sharma S, Field SK, Alvarez GG, Dales RE, Doucette S, Fergusson D;Canadian Respiratory Clinical Research Consortium.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19015563

■医師に気管支喘息と診断された人(肥満BMI>30・非肥満BMI 20-25)を
■一定のアルゴリズムに従って診断を行うと
■気管支喘息ではないと診断される(過剰診断)頻度はどれほどか
■診断、縦断調査

■結果
496人(肥満242人、非肥満254人)のうち、
肥満では31.8% (95% confidence interval [CI] 26.3%-37.9%)
非肥満では28.7% (95% CI 23.5%-34.6%)
が過剰診断であった。
このうち、その後6か月間で気管支喘息の治療を受けなかったのは65.5%であった。

 アルゴリズムは4段階に分かれており、
1) 気管支拡張薬によってFEV1 15%以上かつ200mL以上の改善
2) メサコリン誘発試験
3) 吸入ステロイド半減・抗ロイコトリエン中止してメサコリン試験
4) 吸入ステロイド・長時間作用型気管支拡張薬を中止してメサコリン試験
となっています。

 吸入ステロイドで治療が容易になったため、診断もやや過剰になりやすいのかもしれません。不要な治療をしていないか、見直したいです。

2008年12月4日木曜日

ARBは軽症心不全で死亡・入院を減らさない

 心不全の過半数を占める駆出率 45%以上の軽症心不全に対する第6のアンギオテンシン受容体阻害剤(ARB)、irbesartanの効果を検証した論文です。

N Engl J Med. 2008 Nov 11.
Irbesartan in Patients with Heart Failure and Preserved Ejection Fraction.
Massie BM, Carson PE, McMurray JJ, Komajda M, McKelvie R, Zile MR, Anderson S,Donovan M, Iverson E, Staiger C, Ptaszynska A; the I-PRESERVE Investigators.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19001508

■駆出率45%以上、60歳以上の心不全患者(4128人、New York Heart Association class II, III, or IV)に対して
■irbesartan 300mg/日を投与すると
■プラセボと比較して
■死亡(すべての原因)+心血管疾患による入院(心不全、心筋梗塞、不安定狭心症、不整脈、脳梗塞)が減るか
■治療、ランダム化比較試験

■結果
平均追跡期間:49.5か月
イベント発生率:
irbesartan 100.4/1000人年
プラセボ 105.4/1000人年
(hazard ratio, 0.95; 95% confidence interval [CI], 0.86 to 1.05; P=0.35)

 これまで軽症心不全ではARBの効果は証明されていません。今回も有意差は出ませんでした。イルベサルタン(商品名アバプロ、イルベタン)は今年発売されています。

2008年12月3日水曜日

インフルエンザ流行の兆し

 産経ニュースから。
http://sankei.jp.msn.com/topics/life/1581/lif1581-t.htm
 インフルエンザ患者の報告数が急増しており、近く全国的な流行が始まりそうなことが、国立感染症研究所のまとめで2日分かった。

国立感染症研究所インフルエンザ流行レベルマップ
https://hasseidoko.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/new_jmap.html

MLインフルエンザ流行前線情報DB
http://ml-flu.children.jp/
日本の有志医師によるインフルエンザの流行前線情報データベース

 予防接種はお早めに。

2008年12月1日月曜日

Googleマップは患者背景を把握するのに役立つ

 Googleマップを診療に活用しています。
http://maps.google.co.jp/maps

 患者さんの居住環境を把握するのに、非常に有用と思われます。ぜひお試しください。